HIVのエリートコントローラー
エリートコントローラーとは、HIVウイルスに感染しても、治療を受けずに長期間ウイルスを少ない状態に保つ事のできる人の事です。
通常は、HIVウイルスに感染した後は、適切な治療を受けないまま放置していると、やがてはエイズ(後天性免疫不全症候群)を発症します。
HIVウイルスは、人体のヘルパーT細胞やマクロファージといった免疫細胞に寄生した後、増殖を繰り返し、次々と免疫細胞を破壊しながら数を増やしていきます。
そのため、HIV感染者は3~10年で免疫機能が不全状態になり、エイズを発症します。
しかし、エリートコントローラーと呼ばれる人は、免疫細胞に寄生したHIVウイルスを他の免疫細胞が素早く発見し、HIVウイルスが増殖する前に攻撃を仕掛け、HIVウイルスを撃退する事ができるため、体内のHIVウイルスの増殖を抑える事ができ、治療を受けなくてもエイズを発症しないと言われています。
このようなエリートコントローラーは、300人に1人という非常に稀な割合で存在していると言われています。
そして、このような特異的な免疫の働きは、今後のエイズワクチンの実用化に向けても期待が高まっています。
しかし、最近のHIV感染者は、エイズを発症するまでの潜伏期間がとても短くなってきており、免疫細胞に見つからないようにHIVウイルスも進化しているものと考えられています。